hist021
嫁を探しに韓国に戻った男性と結婚して(16歳)
チョウ・メシルさん
(女性 82歳)
足跡:韓国全羅南道 こうしゅう→鶴見→ふかや→山梨→鶴見

〈おいしいキムチのつくり方〉
 私は、日本に来て、六十何年いますけど、一度もキムチ買ったことない。冗談じゃないけど。朝鮮人、辛い思いして。食べたきゃきゅうりでも揉めばいんだもん。ほんとに食べたかったから、カブ、頭のところを取って洗って、塩振って、一晩おいて。あみって小さな魚を、えびのちいちゃいの。安いの。400なんぼで売ってる。それをくさいのやな人は、さっとゆでればいい。そんなくさくないのよ。多少は魚くさいけど、すり鉢ですってにんにく入れれば臭みなくなっちゃう。コチジャンいいのがいっぱいあるから、手でもんで、最初はうまくないけど、やってみると買って食べることない。うちの嫁さんも作って。あれもいいのよ。キャベツ。キャベツも今高いけどさ。あれ一個買ってきて、4つに切って、芯とって、塩ふっておくでしょ。あれ甘みがでるから洗わない。洗ってつけるから。一晩布巾かぶしといて。細かく切って、コチジャンで。ゴマをいれればいい。ゴマなんて安いもんだよ。ゴマ振って、コチジャン入れてもんで一晩ちゃんとふたしておいておけばうまいもんだよ。またキャベツは非常にいいっていうから。塩つけてきたけどね。売ってるコチジャンは砂糖が入ってるの。唐辛子の粉もこのごろはいろいろあるの。三通りくらい。うんと荒いのと、真ん中と、一番ちいちゃいのと。一番ちいちゃいのと2番目と半分ずつ割ればいいのよ。割って、しけるからね、ビニールに入れて、冷凍室に入れれば、絶対腐らない。しけないから。そこにアミを入れれば、何でも勉強よ。これ頭で覚えるんだから。一か二かやってみたら、買うこと無いって。

<音声データなし>
〈長男が投獄されたとき〉
 今は長男は(民団支部の)議長。それは前からいろんなことがあって、行き過ぎたこともあって、牢屋に入ったこともあります。(中略)あたしはね、とめる必要ないと思うの。間違った道じゃないから。わかるでしょ、親子なら。悪いやつかいいやつかわかるじゃない。母親が一番わかるのよ。うそをついても1回、2回だまされてあげる。わかってても大目に見たんだよって。自分ちには何もないんです、無学で。でも、うちの娘たち言うんです。「お母さんの娘でよかった」って。人の悪口言わない、陰口言わない。あとうちの長男は、「お母さん女じゃないよ、男だよ。半分男だ」って長男が言うんです。
<音声データなし>
 
 語り手の方々のことばです:
戦争っていうの、もうこりごりだ!
時代の流れ
看護婦の勉強をしながら...
タミコちゃんが生きていたら会いたい
「女は勉強しちゃいけない」って、不思議でしょ
勉強家だった夫の思い出
戦争になる前の小学校で
慣れない日本での暮らしと...
皇国臣民化教育
結婚して1ヵ月後、夫が徴用されて
炭鉱労働の傷あと
夫がハンサムだから苦労が目に見えてた
戦争中、子供を連れて逃げた
解放後、浮いたまんまになった
みそ・しょうゆ作り
字が読めないから人を信じなきゃ仕方ない
九州に徴用された夫について来日
川崎より住みやすいところはない
募集に応じて日本へ
歌うどころじゃなかった
親同士で結婚を決められちゃって泣いたよ〜
年がいって、韓国人が恋しくなる
徴用されないよう、十四歳で結婚した
嫁に来たとき、言葉もわかんないし、何も知らなかった
いま考えれば人間じゃなかった
赤紙が来た
植民地になったのを、忘れはしないけど許すことはできる
日本の戦争、朝鮮動乱。私は本当、戦争犠牲者。
泣いたよ、イルボン行くときは
日本にあこがれていた
キムチは買ったことがない
朝鮮人を犯人扱いするとは何ごとか!