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田舎よりは日本に嫁ぐほうを選んで(17歳)
キム・ソンテさん
(女性 84歳)
足跡:韓国慶尚南道(大邱の近く)→名古屋→岡崎→盛岡→川崎
->詳しいお話をこちらにまとめてあります

〈夫の女道楽に悩む〉
 あたし、夫の運がないよ。(中略)結婚したときは、夫がハンサムだから文句言ったことがある。あんまりハンサムだから、あたし苦労するの目に見えてるよって。女がそのままに置かないわけ。鉄屋はじめてちょっと儲かるかと思ったら、女道楽はじまっちゃった。長女が3つか4つくらいだったよ。となりの家の、16歳の娘と出てっちゃった。そいで見たらね、通帳がないの。もって行った。通帳もないし、現金もない。私現金隠していたんだけどね。バカだからね、自分の名義で、銀行行くってわかんない。字が書けないからね。今書けなくても、行かれるけど、そのときうぶだから、銀行もわかんないし。それで、子ども負ぶってまあー朝から晩まで働いて。ほじくって鉄くず拾って。

<肉声をお聞きください>
 
〈役所の外国人登録係の不手際を正す〉
 裁判所にはがきを持っていって、はっきり事情を言ったの。こういう訳で遅くなったんだと。そんで田島支所行って係とけんかしたって。(中略) 私はね、自分でやってないことで責められると、すごく腹立つの。そのかわりに、人に迷惑かけない性分だからね。もう近所でも迷惑かけたり絶対しない、朝鮮人だと言われるようなことしない。するから言われるんだから。子どもにも言い聞かせますよ、私は。だから、知らないところでは言われてるかもしれないけれど、面と向かって朝鮮人だと言われたことありません
<肉声をお聞きください>
 
 22名の語り手の方々のことばです:
炭鉱労働の傷あと
夫がハンサムだから苦労が目に見えてた
戦争中、子供を連れて逃げた
解放後、浮いたまんまになった
みそ・しょうゆ作り
字が読めないから人を信じなきゃ仕方ない
九州に徴用された夫について来日
川崎より住みやすいところはない
募集に応じて日本へ
歌うどころじゃなかった
親同士で結婚を決められちゃって泣いたよ〜
年がいって、韓国人が恋しくなる
徴用されないよう、十四歳で結婚した
嫁に来たとき、言葉もわかんないし、何も知らなかった
いま考えれば人間じゃなかった
赤紙が来た
植民地になったのを、忘れはしないけど許すことはできる
日本の戦争、朝鮮動乱。私は本当、戦争犠牲者。
泣いたよ、イルボン行くときは
日本にあこがれていた
キムチは買ったことがない
朝鮮人を犯人扱いするとは何ごとか!