聞き書き実施担当者の感想のまとめ                
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飯島彩音 / 学生  
 
Kさんのお話に何度も出てきた言葉。「時代だから」「運命だから」「特別な苦労はしていない」 何度も繰り返されるこの言葉。「この方は、本当に必死に生きてきたんだな」と感じた。その時々、大変な思いをしてきて、それでもがんばらなければいけない自分を、上のような言葉で奮い立たせてきたんだろう。
 心の片隅では、ちゃんと自分が苦労してきたこと、がんばったことを認めているように思えた。それでも、自分の境遇を全身で受け止めて、前に進もうとするからこそ、自分を上のような言葉で説得して、歩き続けてきたんだろうと思った。
 Kさんは「時代だ」と自分に言い聞かせて歩いてきたけれど、やっぱり、「朝鮮人」という境遇が大きく影響しているのは疑いのない事実だと思う。私の祖母はKさんとほぼ年齢は変わらないけれど、働きに出てなどいないと思う。旦那さんを早くになくしているけれど、仕事に追われたことなどないだろう。
 私がなにより悲しくなったのは、Kさんの子どもたちに対する「悪いねぇかまってあげられなくて」という話を聞いたときだった。Kさんは悪くないのに・・・。もちろんKさんのお子さんたちには、Kさんの思いは伝わっているのだけれども、Kさんがそのように負い目を感じなければならないことが、私には悲しかった。
 Kさんや旦那さんの生活が、「朝鮮人」というところに押し込められていたからこそ、貧しかったし、働かなくてはならなかったと、私には感じられたのだ。
 苦しい経験をしてきた在日韓国・朝鮮人の方自身が、「時代」や「運命」のせいにしてきたこと、その原因が本当はなにに起因しているのかを、私はしっかりと見定めなくてはならない。もっと子どもたちとの時間も取れたかもしれないKさんの生活を、仕事尽くしにしたのは、旦那さんの病気のせいだけじゃないはずだ。そんな社会構造を見直す意味でも、Kさんのお話を大事にしていきたいなと思った。
 
名前 / 肩書き / 題名
矢野泉/大学教員/ハルモニとの再会
白鳥優子/大学院生/お世話になりました
増田みつ枝/社会人大学生・ハングル講師/聞き取りに参加して
中村裕之/高校教員/聞き書き 断章
大越貴子/大学教員人間は人を信じるもの
金子美沙/大学生/集中聞き書き事業に参加して
橋本みゆき/大学院生(当時)/残酷なインタビュー
猿橋順子/大学教員
黒川真理子/大学生/聞き取りを行って
金井美里/大学生
山田泉/大学教員/ハルモニへの聞き書きで感じたこと
青木美江子/おおひん地域在住/実際に生きてきた道、その思いを語る
青木美江子/鋼管通在住/「在日コリアンの生活史の聞き取り」からKさんと話して感じたこと
木下加奈子/団体職員/ハルモニの人生にふれて
柳澤綾乃/大学生/ほんの一言・・・。
☆カン・トッチョルさんへ☆
寺辻英恵/大学生/ハルモニの笑顔が輝いている理由(わけ)
鈴木宏子/ウリハッキョ共同学習者
飯島彩音/学生
石原たみ/学生/過去を語るということ