山田泉 / 大学教員 / ハルモニへの聞き書きで感じたこと
わたしは,キム・ソニさんとキム・ムンソンさんお二人からお話を伺いました。その概要については別に記しましたが,今回も多くのことを学び,自らの認識の至らなさも反省させられました。
その中で,最も反省させられたことについて書きます。それは,以下のようなことです。
キム・ソニさんから,自分はまるで「家政婦」としての仕事を望まれて嫁いできて,嫁ぎ先で舅,姑,夫,その兄弟の世話に全力を尽くしてきた。それなので,子育てなどすることができず,自らが生んだ子どもには何もしてやれず,放任の状態だったと聞かされました。その上で,キム・ムンソンさんから,「トラジの会ではみんな歌を歌ったり,踊りを踊ったりして楽しむが,この人(ソニさん)は,歌は歌わないんです」と言われたことに対しわたしがソニさんに,「どうして歌わないのですか?子育ての時に子守歌なんかは歌ったのではないですか。みなさん朝鮮半島の子守歌とか歌っていますよね」と言ったことです。その時,ムンソンさんから,「ですからこの人(ソニさん)は,子育てなんかできなかったと言ったでしょ」と指摘され,聞き書きしていながら,聞いた言葉の字面だけ理解し,本当の内容は理解していなかったと気づき,自らの未熟さを反省しました。
おそらく,それ以外でも,お聞きしたことをしっかりと理解するまでの学びをしていないが故に,わたしの耳では聞いたが,心で聞いていない面が多くあったと思われます。「修行が足りない」までのことですが,今回のような貴重な機会が得られたのですから,それではハルモニたちに申し訳ないと思います。反省して,出直しますので,ハルモニには,またお話を聞かせていただければと思います。
それと,お二人ともご苦労にご苦労を重ねて,子どもも育ち,今日があるとおっしゃっているわけですが,ぜひともこれまでのご苦労のほんの一部にでも報いられるような今の生き方を続けていっていただきたいと思います。その意味で,改めてふれあい館という得難い「居場所」の存在の意義は高いと思いました。
さらに,ふれあい館が果たしている役割を持った居場所が全市,全県,全国にできることが期待されます。そのためにもバーチャル資料館がその情報を,モデルを示すことも含め,全国に発信されますことをお願いいたします。
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