金子美沙 / 大学生 / 集中聞き書き事業に参加して
私は8月4日の聞き書きに参加をさせていただきました。
2時間というわずかな時間にも関わらず、聞かせていただいたお話は私の心にずっしりと重く、今も残っています。
私が聞かせていただいた話は出生してから今現在にいたるまで、多くの内容を場面ごとにまとめてくださったものでした。(どこまでご本人から聞いたプライベートなことを載せていいかわからないので、この感想では抽象的なことしか残しませんが)日本に来て、学校に入って、結婚して、子育てをして・・・。
こういった言葉を聞き私達が自分の頭で想像するものとはまったく別の、別世界のできごと、生き方を話してくださいました。
何をするにも全力で、体当たりの人生。聞いていてそんな思いが頭から離れませんでした。
それも自分で望んだ「体当たり」ではなく、体当たりしてぶつかってこなければならなかった人生というふうな。
目の前にいた高齢者の方が「日本人だってああいう時代だもの。苦労しているわよ。」とおっしゃっていました。そんなふうに言えることがすごいなと、心底思いました。
正直なところ、話の内容を重く感じ、受け止めるパワーが自分には足りない気がしました。
でも落ち着いた様子でたんたんと過去のできごとを語って下さる高齢者の方の目に、私には想像もつかない世界が映っていたことを思い知らされ、きちんと受け止めてあげたいという思いが最後まで消えることはありませんでした。話を聞いてあげるだけで、そんなことで過去の痛みや苦労を受け止めるなんてできるわけがありません。でも、その場にいた私にはそうしてあげることしか、できませんでした。
人種の問題って、なんだろう。戦争ってなんだろう。同じ人間なのに、生まれた場所、言葉、文化の違いでどうして悲しむ人々が生まれてしまうのだろうということを、考えさせられます。
「過去を振り返ってばかりでは前に進めない」。この言葉も一理あると思いますが、在日高齢者の方々の過去を受け止めることが、過去の教訓から現在を引き継ぎ生きている私たちの責任ではないかと思います。
物にあふれ、可能性と自由にあふれた今現在を作りあげることができたのは、過去あってのもの。
現在を受け止め、過去を受け止めて初めて新しい未来を作り出すことができるのではないかと、聞き書きに参加して思いました。在日高齢者の存在は私たちに必要不可欠な、いろいろなことを教えてくれる大切な存在です。私は今この時代に生きながらも、このような方々と出会い、交流できたことを嬉しく思います。
貴重なお話を長時間にわたってしてくださった高齢者の方に、心から感謝しています。
本当にありがとうございました。 |
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