逃亡 女性 「川崎にうちの主人のいとこがすんでいたんですよ。義母さんがそのいとこに手紙をどんどん書いて、危ないから、私たちを九州から川崎に連れて行けって手紙を出したおかげで川崎に来るようになったの。おじさんが、川崎から九州にきて、おじさんが監督と韓国からの知り合いだったから、九〇円ためたのを監督さんとおじさんと家の主人が飲み屋にいってだいぶ使ったよ。一晩で四〇円つかってきたよ。また、それにあわせて、韓国から電報がきちゃったのよ。親が危篤といえば韓国に行けたから。それで韓国から電報がきたといって韓国に行ってくるといったきりで、こっちの川崎に来ちゃった。九州のみんなは私たちが韓国に行ったと思っているよ。うちの人はその時すごく怖かったらしいんだ。わたしは何がなんだかわからないままついてきたからよくわからなかったけど。その時捕まっちゃったら死んじゃうんだよ。殺されちゃう。でもあの監督、一緒にお金使ったから目をつぶってくれたのかもね。九州から川崎にくるには長く感じられたよ。家の主人は胸がどきどきして。捕まると殺されるからね。」
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