川崎在日コリアン生活文化資料館 メイルマガジン創刊号
2006年8月16日発行

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川崎在日コリアン生活文化資料館 メールマガジン 第1号 
2006年8月16日(水) 発行:資料館運営委員会メルマガ担当

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 「川崎在日コリアン生活文化資料館」が2006年4月に開設されました。 資料館の主役であるハルモニやハラボヂたちと、資料館をオンラインで訪れる人、資料館づくりを支える人びととをつなぐコミュニケーションの手段として、メールマガジンを発行することにしました。購読は無料です。 なお購読をやめにする場合は、登録と同じ画面で「削除」を選び解約手続きをしてください。

《第1号内容》 
 1.メルマガ発行のごあいさつ 
 2.メルマガ発行の方針について 
 3.ハルモニ、ハラボヂの近況と交流レポート 
 4.みんなの声

□■□ 1.メルマガ発行のごあいさつ □■□ 

 歴史の真実はときとして時代史における周辺の生活史のなかに見出すことができます。 川崎に在住してきた在日コリアン高齢者の語りはまさに時代の証言であります。生き抜いてきたその歩みに多くの学びや気づきがあります。それらを共有しながら多民族共生のありようを模索し構築するために、生活点から時代をふりかえりながら日々の生活を積み重ねて新しき時代を創造したいと思います。そのための情報と知恵の交換をこのメルマガをとおして豊かなものにすることができれば幸いです。                 <ふれあい館館長 「重度>

□■□ 2.メルマガ発行の方針について □■□

○対象者
川崎在日コリアン生活文化資料館(下記URL、以下「資料館サイト」)のメルマガ購読登録画面で登録手続きをした方、および、メルマガ管理人(本メール末尾参照)に直接購読申し込みをした方。http://www.halmoni-haraboji.net/mailmagazine/halmag.html

○目的
このメルマガは資料館サイトに付設するものし、次のことを目指します。
・購読者のみなさんの声を集め紹介することにより、参加者が意 見交換し、ともに学び、そこで得られた何かを共有し、さらに新たな情報発信をする多方向的交流のきっかけを作って、草の根的に資料館サイトを盛り上げること。

・資料館サイトよりも少しこまめに関連情報をお知らせし、関心を寄せる方々の役に立つこと。

□■□ 3.ハルモニ、ハラボヂの近況と交流レポート □■□

<その1>
8月4日・5日の2日間、まちなか交流センターで「在日一世の声に学ぶ夏の集中聞き書き事業」を行いました。両日で、語り手のハルモニまたはハラボヂがのべ35名、聞き取りボランティアのべ80名が参加し、たいへん盛会となりました。この来年度以降もこうした聞き書き事業を継続して、世代間・参加者相互の交流と、資料館サイトのさらなる内容の充実を図りたいですね。

<その2>
8月9日は納涼トラヂ会でした。台風接近のため、予定していたミニ屋台などは残念ながらできませんでしたが、おいしい肉のスープやトッポギ(辛く味付けした餅)を大勢で一緒に食べて、花火などを楽しみました。聞き書き参加者もここでさっそく再会することができました。

□■□ 4.みんなの声 □■□

○トラヂ会訪問記           <横浜清陵総合高校3年 近藤麻衣さん>
今回私は川崎にある「トラジの会」に行ってきました。「トラジの会」というのは在日韓国人の1世、2世の方々の交流のために設立されたケアプラザ的存在のものです。「トラジの会」の皆さんは、とても元気でパワフルでフレンドリーな方たちでした。在日の方と触れ合ったり話したりするのは初めてで、はじめは戸惑ってしまいましたが、一緒に話したり韓国の踊りを踊ったり栄養満点なカレーを食べたりしているうちに気がついたら私も皆さんの中にすっかり溶け込んでいました。一日があっという間に過ぎてしまいました。ぜひまた「トラジの会」へ行き、皆さんと一緒に過ごしたいです。            

○聞き書き参加者にお寄せいただいた感想文

       <「お世話になりました。」  ・・・太陽さん>
このような機会を与えていただきありがたく思っています。すごく貴重なお話をきくことができました。しかしながら、それはご本人にとっては、現実であり、それをさも非現実的で、今ではもう全く考えられない話だなどとはまとめたくありません。貴重ではありますが、現在にも引き続いて起きている問題であると思います。でもその矛先は変化してきています。現在ではもちろんあからさまな偏見などはなくなったように思います。しかしあからさまでなければ、日本の利益のために他の国の人々が犠牲になってよいということはないと思います。言葉と言う形でまとめてしまうことにも、うわべだけの判断をするという点では、もしかしたらよくないことなのかもしれません。差別禁止と言うことは容易いことです。そこから実際、なにができるかが大事なのだと思います。
本当はあえて「多文化共生」などと言わない社会が、多文化の成立した社会でしょうけれども。現在では「多文化共生」があらゆる場面で聞かれるなかで、その真実味を増すために草の根的運動から始めることが大切だと思います。今回は、ふれあい館の皆さん、ボランティアやお仕事をされている方々、そして在日高齢者の方々にお会いできて新たな視点を見つけることができました。ありがとうございました。

         <「聞き書き 断章」  ・・・HiNakaさん>
5歳のときひとりで日本に来ることを余儀なくされ、激しい差別や言葉の壁と戦いながら70余年を全速で走り続けるように生きてきたハルモニのお話。2日間に亘り、元気いっぱいに明るく生きるハルモニからお話を聞けたことは、生きることという個人のレベルから歴史や日本社会という社会のレベルまで大きな衝撃と感慨を私に与えてくれた。まだまだ頭の中は混乱していてこの2日間を表出する言葉を私は持っていないが、いま感じたり考えていることをあえてあまり整理せずにばらばらな文や言葉として出してぶつけてみようと思う。

★「皇国臣民ナリ・・・」 
 釜山で関釜連絡船に乗せてもらうために必死に覚えた「皇国臣民ナリ・・・」という歌(誓詞)。ハルモニはこれを暗記しないと日本に連れて行ってもらえないと5日間釜山にひとりでいて覚えたそうだ。5歳の少女はそれでも日本に行きたい一心で頑張った。そして下関で落ち合うはずの義兄としばらく会えずに過ごした辛い日々。「あの時のことがあったから私は絶対負けない」というハルモニの言葉は、錐のように私の心に刺さってくる。

★「玉音放送」
 今日は8月15日。メディアは首相の靖国神社参拝を過熱気味に報道している。ハルモニは1945年8月15日の玉音放送をどういう思いで聴いたのか、私はぜひ聞いてみたかった。ステレオタイプ的な歴史の知識しかない私は「独立できてよかった」類の答を期待していた。ところがハルモニは「食えなくて日本に来たので感慨がなかった」、「天皇の言葉の意味も分からないし、日本に来た以上私はここで生きるしかない」と言う。大変な苦労を日本社会でしながらも、たくましくそして着実にしっかりと生きていこうとする姿勢。リアリティを欠く自分の歴史認識。歴史を学ぶとはどういうことなのか、歴史を教えるとはどういうことなのか、いま自分の中で固くしこった部分が溶け始めている。

★「自分勝手に朝鮮人を呼び寄せておいて犯人扱いをするとは何事か!」
 指紋押捺に反対する理由をハルモニはこう答えている。この頃私はもう仕事を始めていて、運動そのものはもちろん知っておりマスメディアの報道を見たり署名などをした記憶がある。しかし在日コリアンの思いを直接聞いたのは初めてだった。ある時は「日本人」とされある時は「外国人」と国家や歴史に翻弄されて、その中でも厳しくも明るくたくましく生きぬいた在日コリアンの思いが集約されている言葉だと思った。国家とは何か?日本とは何か?そして在日コリアンとはどういう存在なのか?と私の頭は前にもまして混乱している。

★「よろしくお願いします」 
 私たちへのメッセージを、と言われて答えてもらった言葉。これから孫やひ孫も日本で生活するので日本と仲良くしたい、という趣旨の言葉に続くハルモニの言葉。一体「よろしくお願いします」と言わなければいけないのは誰か?と強く感じた。私たちは何をしなければいけないのだろうか。

★★ そして・・・
ハルモニにはもっともっと健康で長生きしてほしいと切に願います。そしてもっともっとハルモニが生きた時代を語ってほしいと思いました。 

◇聞き書きの感想文は次号以降も順次ご紹介していきます。

□■管理人より■□
 第1号はいかがでしたか^^(内心ハラハラ)。次号以降は3と4の部分(近況&交流レポートおよびみんなの声)を中心に、みなさんの知恵とお声をたよりに内容を洗練させていきたいです。
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