今、戦争の足音が近づいてくるのを感じます。
差別と戦争の時代を生きた在日一世と交流を深める中で、彼女らが力強く「もう、絶対、戦争だけはいやだ!!」と語るのをいく度となく聞いてきました。
戦争の「大義」は、いつの時代でも、力のある男たちが語ります。戦争の本質は、沖縄や広島、長崎で痛めつけられた民衆によって語り継がれています。そして、私たちは、差別と戦争の時代を生きた在日一世の生活史の中に、「戦争の本質」を学び、自分の心と体に焼き付ける作業を行い、そのことで次の世代に、差別も戦争もない時代をつくっていく歩みを確かなものにしたいと願っています。
この間、ハルモニ方といっしょに国境を超える旅(韓国旅行)を共に作り、若い時、全く言葉もわからないまま、玄界灘をわたりその後も日本で暮らしてきた在日一世と、解放後帰国して苦労された本国の高齢者との出会いの場面を共有してきました。日本に残った方も、帰国し、分断された国家で暮らしてきた方も、「お互い苦労したね」という時間をもてたことは、「帰れなかった」「帰らなかった」自分と母国との間の断絶を和らげるに役立つものであったと思います。
そして、今回、日本の地で、差別と戦争に痛めつけられた沖縄の人たちと交流し、在日一世と戦争体験を共に語り合う機会を企画し、そのことの実現のために在日一世と協同で取り組みました。この沖縄旅行では、以下の点を目標にしました。
- 沖縄の高齢者と在日コリアンが共に戦争体験を語り合うことにより、戦争の本質を明らかにし、学ぶこと
- 沖縄の「戦争」を記録し、平和への情報を発信している場(具体的には数々の関連ミュージアム、遺跡)を見学し、在日コリアンの差別と戦争の記録化をイメージすること
- 沖縄の戦争に触れ、在日一世の戦争の記憶を再生し、語ることの意味を感じていただくこと
- 若い世代が、沖縄と在日の戦争体験者が交流する場に参加し、遺跡などをともにまわることにより、その体験を語り伝えていく出発点とすること
- 沖縄・川崎で、高齢者や弱い立場にある人々とかかわりながら小さな活動を続けている者たちが出会い、交流すること
|